ある戦略コンサルティングファームで活躍するエグゼクティブより、準備の心構えについて学びました。
これは単に面接ノウハウに留まらず、日々のビジネス習慣上の準備の重要性についての学びといえます。
大手企業のクライアント数十名の役員に対してプレゼンを行なう事が日常茶飯事な職種。
大した準備無しでも充分なパフォーマンスと経験・実績により、どこでも内定がでるような大変優秀な方です。
それでも、当日面接前に高層ビルのロビーでお待ち合わせした際に目に飛び込んできたのは、企業のIRと社長のプロフィール、業界動向の資料に真剣に目を通されていた姿でした。
また、ご自身がパラパラと捲られていたノートには、質問したい項目を箇条書きにしたメモと、競合他社の情報など、数ページに渡り、企業分析を自身の視点から徹底的に行なった形跡が見て取れました。
もちろん面接後は、相手先の社長からも高い評価。
何より、その準備を徹底して行なった事で、その候補者自身に独特のオーラというか、話に集中できる安定した空気のようなものがありました。
残念ながら多くの候補者は、面接する企業に対する当事者意識が欠如しています。
自分が将来担っていこうとする会社というレベルまで当事者意識を持たれておりません。
単に転職に成功すればいいかな、、、その程度のレベルです。
ところが、この優秀な候補者は徹底した面接準備を行なうことで、何度も何度も入社後のイメージを繰り返し動画再生することで、面接先企業の役員の立場に匹敵するレベルで強い当事者意識を持たれていました。
「私がもし社長だったら」というレベルまでの当事者意識を持たれていました。
人間は共感の生き物。面接者にも充分にそれが伝わっていたようです。
面接後の社長からの言葉です。
「あの方は地頭もいいし、ポイントが明確で分かり易いですね。真剣さが他の候補者と比べても圧倒していますね。」
事前準備無しには絶対に出てこない本質を貫く質問やその事業の根幹を左右する数値指標に対する質問を積極的に行なうことで、面接者側に相当に非常に強いインパクトを与えていらっしゃいました。
面接後、候補者様に準備の秘訣をお聞きしてみました。
「どうしてそこまで準備されるんですか?」
「まずはお時間をいただく相手に対する礼儀として。それと1時間の面接でどれだけの価値を創出できるかを目標に準備しています。それは合否とは関係なく、1時間という時間に対する自分なりのROI指標なんです」
「準備に際して何かポイントはあるんでしょうか?」
「まず面接当日をイメージします。相手と向かい合って座っている状態。そこからイメージを動画再生していくんです。限られた時間で、何を伝えて、何を引き出さなければならないのか?早送りで動画再生をして行く中で時間配分もイメージします。自己PRや説明に関しても、1万人の前で講演するように何度も何度も繰り返しイメージして準備したりします。」
「凄いですね、、、」
ポイントは、自分のためではなく、先ずは貴重なお時間をいただく相手のために全力で準備をする。
この心構えを土台とし、その人それぞれの準備の方法があるのだと思われます。
時間は命。相手のために準備する。相手の時間を効率的にするために、自分の時間を準備に投資する。
ヘッドハンターとしても非常に身を引き締められる出来事でした。